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僕は絵しか描けない

第4章 喧嘩と童貞

「お疲れさまです……」

もうすっかり馴染んでしまったサブカルチャー研究会の部室に入ると、いつもと違う緊迫した空気が漂っていた。

「頼む。考え直してくれ」

見慣れない男が詩子さんに言い寄っていた。

「てか、しつこい。こんなとこまで来ないでよ」

一目でイラついてるのがわかる詩子さんは雑誌から視線すら上げずに突き放す。

「あのっ……」

どうしていいかわからずに声をかけてしまった。

「おっ、クロ。いいとこに来た。こいつ追い返してよ」

詩子さんは顎で見慣れない男をしゃくった。

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