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ツインズ・ラブ

第2章  監視(Side 司)

 授業料と教材費全額免除。

 その言葉が甘く耳に響く。
 我が家は、どちらかというと裕福なほうだ。本来ならお金に困っていない。
 両親はともに一部上場企業に勤め、その生活のほとんどを海外で過ごす関係上、僕ら兄弟は半ば強制的に全寮制の男子校に入学させられた。でも、お小遣いは定期的に振り込まれているし。困ることは全くないはずなのだが・・・。
 問題は僕が自由に使えるお金がないことだ。葉月が財布のひもをがっちりと握っているのだ。
 以前、3回財布を落としてしまったからといって、売店のパン一つ買うお金も弟に払ってもらう、このむなしさ。
 怒りや悲しさよりもプライドが先立って、誰にも言えないが、自由になるお金が欲しいのは高校生としては当然だろう。
 そういえば、田中先生には以前このことをぐちったことがあった気がする・・・・。

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