
キャラメル、甘く
第1章 *条件
・・*
「連れてきましたー!!」
撮影現場に着いたのは、すっかり日も暮れた頃。
予め梶さんに電話で伝えてあったからか、既に撮影の準備は万端だった。
「お、来たな」
「絢菜さん、おはようございます」
相変わらずラフな格好の梶さんと、バスタオルに身を包んだ杏樹が出迎えてくれる。
ムーディな部屋の雰囲気にもだいぶ慣れ、私はずかずかと二人の元に駆け寄った。
「イメージぴったり!
今度こそ間違いなしです!」
「やけに自信満々じゃねぇか」
梶さんがあご髭をさすりながら驚いた様に私を見る。
「相手役の方は?」
「そうね!紹介する!圭太くん入って」
ドアの向こうに待たせてあった彼に声をかけると、圭太くんは少し訝しがりながらも部屋の中に入ってきた。
「なんだよ、学生か?」
「杏樹と同い年です。
杏樹、こちら橘 圭太くん」
「桐嶋 杏樹です。
今日はよろしくね?」
「……よろしく」
ぶっきらぼうな答え方だが、
まあそこはしょうがないとする。
