
キャラメル、甘く
第2章 *未経験
梶さんが慌てるなんてよっぽど珍しい。
「どうしたんですか?」
若干驚きつつ、私は梶さんに問う。
「………決まった」
「へ?」
「杏樹がCMに起用される事になった!!」
「…っ、本当ですか!?」
願ってもないことだった。
杏樹の魅力を他の人にも分かってもらえたのだ。
「梶さん!」
「おう!頑張った甲斐があったな!」
早速、杏樹に伝えないと!
意気込む私にちょっと待てと言わんばかりに足止めされる。
「何ですか!!」
早く伝えたいばっかりに、つい声を荒げる私。
そんな私に動じることなく梶さんは、
にたりと笑みを浮かべた。
