
キャラメル、甘く
第2章 *未経験
彼の中で私はうんとたくさんいる女の子の、その中の一人で。
彼の優しさも、
見せた表情も、
言葉も。
きっと女の子みんなに見せたものなんだろう。
「なんで涙が出てくるの…」
ぽたぽたと伝う雫が彼に落ちてしまうから、だめだと思った。
必死になって涙を拭う。
そのまま私は、
繋がれた彼の手をゆっくりと解いていく…
……
…………
……………………。
ゆっくりと。
それでもいつもの日常に戻れば、何事もなく頭の中は仕事でいっぱいになっていった。
毎日仕事で忙しい。
でも、充実した日々。
ようやくあの日のことを忘れかけてきた私に、ある日の仕事場、梶さんが私に慌てて駆け寄ってきた。
