1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第7章 ――斎藤 梢 編――
梢の足取りは重かった。
梢の横を、後から歩く人達がどんどん追い抜いていく。
気が付くと、梢の後ろには誰もいなくなっていた。
ハッとした梢は、急いで家に帰りたくなり、近道をしようと、いつもは使わない人気の少ない路地に入って行った。
…………。
先ほどから梢を変な緊張感が襲っていた。
路地に入る少し前の辺りから、明らかに梢の後を誰かがついてきているのだ。
最初は気のせいかと思ったが、どうやらそうではないようだ。
なぜなら最悪な事に、その人も路地に入ってきたからだ。
それに、梢が気持ち悪いと思う原因は他にもあった。
足音が異様に変なのだ。
ペト……。
ペト……。
まるで素足でコンクリートを歩いている様な音だ。
こんな真夏に裸足で道路を歩くなんて尋常じゃない。
それにその足音は梢の耳に直接響いてくるような大きな音だった。