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1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜

第8章 成功


 テレビの右上にある時計を見ると、時刻は8時45分を知らせていた。

 香織は慌てて、学校に連絡しようと居間に向かう。

 香織が連絡する前に、担任が家に電話をかけたりしたら、また話が面倒な事になるからだ。

「はい、都立若葉高等学校ですが」

 電話からは聞き覚えのない声がした。

 香織は生徒だとバレない様、咄嗟に静江の話し方を真似て喋った。

「わたくし、2年C組の柴崎香織の家の者ですが、お嬢様は体調不良の為、本日欠席させていただきますので、申し訳ないですが、担任の先生に伝えておいていただけますか?」

「はい、分かりました。柴崎香織さんですね? お伝えしておきます」

電話の主は、何も疑う声なくそう言った。

『良かった……どうやらバレずにすみそう』

 香織は安心すると

「では、宜しくお願いします」

 と言って丁寧に電話を切った。

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