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───────…

クローゼットを開けた。


震える…


もう何時間も経っているのに、要さんの定まらない視線と、衝撃の発言がずっと頭にこびりついて離れない。



──────すみません…目が不自由なもので…



「どうしてっ…」



何がなんだか分からないまま私は一人部屋で悲痛な叫びをあげていた。


壊れた傘は、何も答えない…。



出会った時、彼は確かに見えていた。



私をじっと見つめて…


善と悪の間をさまよっていた私をしっかりと掴んで、道を標してくれた。



────────また会おう



そうだ、要さんはそう言って、私の未来に光を灯してくれた…。


「どうした…震えてる。」


「っ…光瑠さん…」


突然、後ろから光瑠さんが現れてぎゅっと私を抱き締めた。



「いつからそこにっ…」



私は壊れた傘を前に急に後ろめたい気持ちになった。

「…ノックもしたし、名前も呼んだ…」



「……すみません…」



気付かなかった…


それくらい要さんの事で頭が一杯だった。



「壊れたのか…？」



光瑠さんは耳元でそういうと、私の持っている傘を掴もうとした。


ハッ…



「ダメっ…！」


咄嗟にその手に取られないよう、傘をクローゼットの奥にしまいこんだ。