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近くて遠い

第30章 3つの想い

「社長!!!
これ以上真希さんを苦しめることは許さない!!
僕は…彼女を愛してる!
もうあなたの元には置いておけない!!」



その言葉の後、


部屋がシンと静まり返った。


私は要さんの腕の中で眼を見開いて、光瑠さんがいる方に顔を向けた。



光瑠さんは、

口をわなわなさせながら、何も言わずに固まったまま、要さんを見ていた。



その時間は短かったはずなのに、


私には永遠とも思えるほど長く感じた。



そして、光瑠さんはチッと舌打ちをしたあと、私と要さんに背を向けた。


光瑠さんっ……



私の見開いた眼から涙が流れた。




やはり



彼は



『俺も愛してる』




とは言ってくれない……



あんなに近くにいたのに……


心はずっと遠くにあった…



あぁ…


光瑠さんっ……



本当に



近くて遠かったのは…



あなた───




「……もう…」



私は光瑠さんの背中に
消えそうなほど小さな声で話し始めた。



「もうっ…
解放してくださいっ…」






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