近くて遠い
第35章 現在と過去
────────…
コートの襟を立てながら、要は珍しく一人で外を歩いていた。
また、と言っただけでちゃんと次会う約束をしていない。
まだ数日しか経ってないのに、要はもう真希が恋しかった。
有川商事を正式にではないにしろ、事実上やめたことになっている要は、
仕事を探そうと思えばすぐいい仕事が見つかる能力はある。
だが、
ずっと働き詰めていたせいで、貯まる一方だったお金の額を見ると、就職は急務ではなかった。
だからと言ってフラフラしているのは自分の性分にあっていない。
要は自分の経験を生かして目の見えない人々のボランティア活動をするようになっていた。
休日、
カツカツと革靴が軽快に鳴らして街を歩く。
道行く人は皆、要の放つオーラに目を止め、溜め息を洩らす。
静かな住宅街。
向かう先は…
真希のアパートだ。
泣かしてしまった事に
なおも心を痛めながら、要は携帯電話を取り出した。
画面をタッチすれば、
すぐに愛しい人に繋がる。
なのにもう何分もアパートを見上げてそうすることをためらっている。
日が少しだけ西に傾き始めた。
要は、意を決して画面をタッチして、ふぅと息を吐いた。
コートの襟を立てながら、要は珍しく一人で外を歩いていた。
また、と言っただけでちゃんと次会う約束をしていない。
まだ数日しか経ってないのに、要はもう真希が恋しかった。
有川商事を正式にではないにしろ、事実上やめたことになっている要は、
仕事を探そうと思えばすぐいい仕事が見つかる能力はある。
だが、
ずっと働き詰めていたせいで、貯まる一方だったお金の額を見ると、就職は急務ではなかった。
だからと言ってフラフラしているのは自分の性分にあっていない。
要は自分の経験を生かして目の見えない人々のボランティア活動をするようになっていた。
休日、
カツカツと革靴が軽快に鳴らして街を歩く。
道行く人は皆、要の放つオーラに目を止め、溜め息を洩らす。
静かな住宅街。
向かう先は…
真希のアパートだ。
泣かしてしまった事に
なおも心を痛めながら、要は携帯電話を取り出した。
画面をタッチすれば、
すぐに愛しい人に繋がる。
なのにもう何分もアパートを見上げてそうすることをためらっている。
日が少しだけ西に傾き始めた。
要は、意を決して画面をタッチして、ふぅと息を吐いた。
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