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近くて遠い

第35章 現在と過去

罪の意識に苛まれて、無理をしているんじゃないか…

そんなことを思いながら、お父さんを見つめた。



「あぁ。
1年だけしか残っていないから、少し肩身の狭い思いをさせてしまうかもしれないが、
真希だったらきっとすぐに友だちを作れるだろう?」


「…お父さんっ……」



学校に行ける。


それは本当に嬉しい事だった。


普通の17歳に戻ることが出来る。


やっと…やっと…



「ありがとうっ…」



漏らした感謝の言葉にお父さんが微笑んだ。



「お礼を言うような事じゃないよ。
父さんのせいで中退させてしまったんだから…」



住み慣れたここを離れるのは少し寂しい気がした。


でも、

新しい土地で


また人生をやり直せばいい。



「……ただ、隼人はすぐに転校させるけど、真希は編入試験があるからな。
やっぱり少し勉強して春から、入った方がいいかもしれない。」



お父さんの言葉に私は首を大きく縦に振った。



色々あったけれど


私たち家族はまたやり直せる。


私は再びお母さんの写真をじっと見ながら、

ゆっくりと微笑んだ。



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