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近くて遠い

第35章 現在と過去

「おみやげー!」



そう言った隼人に私は眉をひそめる。



要さんはそんな私をみて、代わりに誰からの?と隼人に質問した。



「ひかるだよー」



「えっ…?」



その名前に

また私の身体が固まった。



「ひかるね、僕のミニカー壊したんだ。
だからね、好きなだけ買ってくれるって約束してくれて、パリで買ってきてくれたのー」


パリで…


おみやげ…




光瑠さんが…?



───────俺はガキが嫌いだっ



どうして……?



「こんなにたくさん…」



と要さんが呟いた。



みるみるうちに目に涙が溜まった。


バカじゃないのっ…


好きなだけってっ…


限度があるでしょっ…



わざわざパリで、

こんなにたくさん買わなくてもっ……



溢れかえるミニカー。



ふと

白いスーツを土で汚しながら、不機嫌そうに隼人と鬼ごっこしていた光瑠さんの顔が浮かんだ。





「隼人……」




ゆっくりと要さんが声を掛ける。



「悪いけど、

向こうで、


まつぼっくり拾ってきて。


出来るだけたくさん。」



それが


隼人の前で涙を流すまいと堪えている私への

気遣いであることにすぐに気付いた。




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