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近くて遠い

第36章 目覚め

「はっ…はははははは…」


光瑠は壊れた玩具のように腹を抱えて笑い出した。




こうやって土産を考えていた時間にも
部下と真希は会瀬を重ねていただろうと思ったら、


あまりに自分が滑稽だった。



「ご主人様っ…」




声を掛けられて光瑠は虚ろに愛花を見た。



真希が
自分に楯突いてまで庇ったメイド…



「お前は
知っていたのか」



「えっ?」



じりじりと光瑠は愛花の元に寄る。



「お前は…

真希と関根の事を知っていて、

陰で俺の事を哀れだと笑っていたのか」





「そんなっ…違いますっ…真希様はっ…」


近付く光瑠に愛花はがくがくと震える。



「嘘をつくなっ!!!」




「きゃぁっ!」




光瑠は怒鳴って愛花の手を掴んだ。



悲鳴を上げる愛花に怒りが止まらない。




「はっ…!
残念だな…
お前を助けてくれたやつはもういない。」



「いたいっっ!」



折れんばかりの力で腕を掴んで光瑠は凄んだ。


虚しい──



心の穴が



埋まらない…





……………真希っ…




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