テキストサイズ

近くて遠い

第38章 大事なもの

暗い倉庫のような中、


椅子に巻き付かれ、ぐったりと頭を垂れている少女の姿──



「真希っ!!!!!」



光瑠はタブレットを握り締めながらそう叫んだ。



「酒田っ!!これは一体どういうことだ!」



と要が酒田に迫る。



「さっ、先程有川社長宛に会社にメールで送られてきましてっ…!
開いてみたら、真希さんがっ!」


愛花と古畑もどうしてよいか分からぬまま、ただ、その状況を見ていることしか出来なかった。



「何故だ!!一体誰がこんなことを!!」


叫ぶ要の隣で光瑠が
様々なことに思いを巡らせていた。



「いっ、今専門の社員に解析をやらせてますが、そんなに───あっ!」



酒田は話していた途中で鳴り出した電話にすばやく出た。



「社長っ!!何か恨まれるようなことがここ最近ありましたかっ!!」



要が光瑠に迫る。


光瑠はさっきからずっと心当たりを探していた。



だが、


真希がいなくなってからの自分の態度を省みると、皆に恨まれててもおかしくない──


焦っているせいで、
うまく頭が回らないのもあった。


あぁっ!と叫びながら頭を抱える光瑠を見ながら、要は酒田の電話が終わるのを待った。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ