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近くて遠い

第48章 ◇クリスマス特別編◇

「ほらっ、これだろお前が欲しかったのはっ…」


光瑠さんはそう言いながら、袋に入れていた大きなショベルカーの玩具を隼人に渡した。


俯いていた隼人が途端に元気になって目を輝かせた。


「そう!!僕が欲しかったのこれー!!」


手を一杯に拡げて玩具を受け取った隼人を見て私は微笑んだ。


良かった…
すっごく嬉しそう…


「ありがとー!サンタさんっ!」


光瑠さんはそんな元気な隼人の言葉に安堵と照れが混じったような顔をして立ち上がった。


「用が済んだから俺は帰る。」


無理にサンタクロースに成りきろうとする光瑠さんがちょっとかわいく見えた。


「えぇー!サンタさんもう帰っちゃうの…?」


隼人は玩具を掴んだまま少し寂しげに呟いた。

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