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詩集

第8章 獣

獲物は最後の悲鳴を上げて

力いっぱいの抵抗をする

両手でぎゅっと獣を抱いて

ぶるぶるカラダの中がふるえる

おなかからおしりにかけて、肉が一斉に動き出す

お腹のなかで、お腹のそとで

下から上へ、外から奥へ

じっとり濡れた、獲物のそこが

獣のきばをしごきあげる

上から横から、壁が迫って

きば全体をすりあげる

獲物の価値を、しっかりアピール

仕草や飾りでは表せない、本能の色気

セックスアピール

わたしを愛して、わたしを食べて

獣もそれにひっぱられ、獲物へ愛を語り始める

ひくひく

ひくひく

血の色の肉に囲まれた、獲物の中にマーキング

他の獣に取られないように



真っ白な視界からもどったら、そこには普段通りのあの人がいて

ぎゅっとやさしく抱きしめられて

そのまま2人

まどろみのなかへ、落ちていく

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