
私の掏明くん
第24章 終電間際
千尋「…」
東矢が追いかけて来てくれた
記憶を取り戻した、思い出してくれたと
思ったが
反射的に動いただけのようで
糠喜びだったようだ
千尋「さっきはすいませんでした…」
東矢「えっ?あぁいえ…俺の事より良人
は?川澄さんの後追いかけたのに会って
ませんか?」
千尋「あぁ…良人さんとは…」
東矢「どうかしました?」
千尋「…別れたんです、今さっき」
東矢「あっ、そうでしたか…」
千尋「最初から付き合うべきじゃなかっ
たんです、だって…だって私…」
東矢「川澄さん?」
千尋「…」
言わない方がいい
言ったところで答えはわかってる
ただ自分の気持ちを押し付けて東矢を困
らせるだけ
だったらこのまま
言わない方がいいと思った
だけど…
千尋「…私」
東矢「えっ?」
千尋「…いえ…何でもありません」
東矢「…」
