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不器用なタッシュ

第7章 歪

「何だよ…香織も安岡も…。」


安岡が飲んでいた缶を片付けながら急にどうしようもないくらい、焦燥感に教われる。


身体中、一気に鳥肌が立ちそうになった。


「なっ…。」


この感覚が何なのかは解らない…ただ無性に不安になる。


安岡の言葉が反芻する。


『フラれる以前の問題だ!』
『相手にばかり求めんなぁ~!』


「相手に…ばかり…って…。」


俺は何を求めたんだ…?


『好き』って言葉が怖くって…でも『好き』って言われると安心するんだ…。


でも誰でも言い訳じゃない。


香織だから…香織じゃないと意味がない…。


ずっと、一緒に居られるには…どうすればいいか…。


香織は、目も合わさずに帰って行った…。


「俺が…しっかりするしかないよな…。」


窓の外に目を向けながら、俺はその時に決意をしたんだ…。

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