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不器用なタッシュ

第9章 霹靂

香織が出て行った方を見ながら、ウェイターを呼び止め


「ディナーコースを二人分と食前酒はキールで…」


そして…携帯を取り出して、電話を掛ける。


プルルルル…ガチャ!


コール一回で、相手に繋がる…


『有難うございます…カッティングエッジカーサの井関です…』


香織の会社の上司…デスクに直通電話した。


「お忙しいところ失礼します…トランスポートの須永ですが…」


『須永さん!あら、お久しぶりです!ご活躍伺ってますよ!』


企画の延長なのか、コラボ製品に関わるから俺の受賞も把握しているんだろう。


「有難うございます…その節は皆さんにお世話になりました…」 


『いえ…今我社の目玉商品ですから!また機会がありましたら宜しくお願いしますね!』


「はい…是非…あの…渡辺さんて今、電話でれますか?」


企画担当だったんだから、特に深読みもされないだろう。


『渡辺ですか…そちらのイベントに向かって、そのまま帰宅する予定だったんで…もう居ないんですよ…』


瞬間…腹の底から…

ドロッとしたものが沸き上がり…


口元を押さえた…。

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