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不器用なタッシュ

第9章 霹靂

俺がキレてるのが解ってるのか、急に香織は借りてきた猫みたいに大人しくなった。


部屋まで来たからには、もうこっちのもんだ…。


「ルームサービスで、ワイン頼んでおいたから…とりあえず乾杯し直そうぜ」


「う…うん…」


酔わせて、眠らせてしまえ…。


流され易い香織だし、ムードが良くなって、ヤってしまえば逃げられないしな。


ソファーに隣り合わせに座り、グラスを渡す。


「はい…乾杯!」
「乾…杯…」


まだ腹ただしさは収まってなかったのもあって、一気にワインを飲み干すと、香織は更に緊張感を露わにした。


ちょびちょびとグラスに口を付けて黙り込む。


面倒臭いから、このまま押し倒すか…。


キスしようと香織の顔に近付くと、いきなり身を引きやがって


「嘉之!話したいことがあるんだけど!」


話しだと…。


嫌な予感がして、あからさまに不機嫌な表情をした。


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