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不器用なタッシュ

第9章 霹靂

香織と再会して、一週間が経った金曜日。


俺は強行突破に出た。


まともに連絡した所で無視するだろう。


これでも一応6年間で付き合ってきてるんだ!
香織の癖ぐらい分かってはいるつもりだ。


香織の会社の地下駐車場にニュービートルを停めて、エントランスで出待ちする事にした。


定刻の18時を過ぎてしばらくすると、仕事が終わった人たちが、かなりの人数出てくる中に…

女性社員が二人向かって来た。


香織だ…。


エントランスの壁に寄りかかって、脚を軽く組んでいる俺に気付いた香織は、表情を強張らせた。


ドクン…


虚空の中で、何かが響く…。


「こんばんは…渡辺さん…ちょっと話せる?」


まさか俺が来ているなんて思ってもみなかったんだろう…固まってる香織に同僚の女性は

「なべちゃん…私帰るね!」

そそくさと、立ち去った。


明らかに困った顔を見せる香織に、素知らぬふりで誘いかける。


「香織、帰るだろ?車で、送るよ。」

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