
不器用なタッシュ
第10章 鎖
タンタンタン…
指先でテーブルを何度も弾く。
「たく…メール無視かよ…」
今日は土曜日…
時計を見ると10時を過ぎていた。
昨晩から送ってるメールに、香織は返事をよこしてこない。
『おはよう、土日予定どう?』
『今日は会える?』
『明日でもいいけど?』
俺はあれからマンションの近くで深夜まで香織が出てくるのを待っていた。
だけど…
香織は小田切の部屋から出ては来なかった。
「はぁ…よろしくやってたのかもな…」
考えたくないが、相手だってそれなりの年齢だろう…
大人の関係なんて、簡単に成立するもんだ。
金曜にメールの返事が来なかった時は、憤りがMAXだったが、今朝になって急に冷静になった。
取り敢えず…香織からはまだ『小田切』の名前が出た訳でもない…。
イタリアだって考えておくと言った。
「まぁ…香織は流されやすいからな…」
小田切と何があったか知らないが…
抱かれてたって、今回は許してやるよ…。
その代わり…
もう二度と会わせないけどね…。
ここに連れ込んで、しばらく鳥籠生活にさせておこう…。
その間に小田切は手を打つか…。
そんな歪んだ考えが当たり前の感覚で…
罪悪感なんて微塵も浮かでこなかった。
本当は…
冷静なんかじゃなかったのかもしれない…
胸の奥から止めどなく…
ドロドロ…
溢れてきて…
香織という色彩を失ったら…
俺はただの
黒になるんだ…。
指先でテーブルを何度も弾く。
「たく…メール無視かよ…」
今日は土曜日…
時計を見ると10時を過ぎていた。
昨晩から送ってるメールに、香織は返事をよこしてこない。
『おはよう、土日予定どう?』
『今日は会える?』
『明日でもいいけど?』
俺はあれからマンションの近くで深夜まで香織が出てくるのを待っていた。
だけど…
香織は小田切の部屋から出ては来なかった。
「はぁ…よろしくやってたのかもな…」
考えたくないが、相手だってそれなりの年齢だろう…
大人の関係なんて、簡単に成立するもんだ。
金曜にメールの返事が来なかった時は、憤りがMAXだったが、今朝になって急に冷静になった。
取り敢えず…香織からはまだ『小田切』の名前が出た訳でもない…。
イタリアだって考えておくと言った。
「まぁ…香織は流されやすいからな…」
小田切と何があったか知らないが…
抱かれてたって、今回は許してやるよ…。
その代わり…
もう二度と会わせないけどね…。
ここに連れ込んで、しばらく鳥籠生活にさせておこう…。
その間に小田切は手を打つか…。
そんな歪んだ考えが当たり前の感覚で…
罪悪感なんて微塵も浮かでこなかった。
本当は…
冷静なんかじゃなかったのかもしれない…
胸の奥から止めどなく…
ドロドロ…
溢れてきて…
香織という色彩を失ったら…
俺はただの
黒になるんだ…。
