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不器用なタッシュ

第10章 鎖

香織から返事が来たのは、11時過ぎだった。


『明日のお昼くらいなら、時間取れます』


堅苦しい文面に以前の俺だったら、直ぐに不機嫌になっていたかもしれないが、先ずは会うことが先決だ。


『明日、11時にアパートに迎えに行く』


ボスンッ!


送信ボタンを押し携帯を持つ手を額当て、ソファーに仰向けに横たわる。


「真っ白だな…」


マンションは壁も天井も純白で貼られていた。


天井に向かって腕を伸ばして、開いた手の甲をジッと見つめる。


「シエロ…」


しずかに目を閉じると…


瞼に浮かぶのは…


香織の笑顔…。




ここに…『緑の空」を描いたら…

君は喜んでくれるかな…?


『…ありがとうございます…。嬉しいです。こうゆうの凄い好きです…』


トクン…


初めての君と出会った日…。


瞳が離せなかったのは…


きっと…


自分の方なんだ…。



だから…


「ずっと…視界に入れておかないとな…」




何かを掴む様に…

手のひらをグッと握った。

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