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不器用なタッシュ

第11章 執念

「おい!須永くん!」


この状況じゃ当たり前の流れなんだけど、小田切に名前呼ばれるだけで…
いや…声も姿も、存在そのものが、無性に神経を逆なでしていく。


イライライライライライライライライライラ、すんだよ!


不機嫌丸出しの低い声で


「名前、呼ばれる筋合いないけど」


小田切を睨む。


「ちゃんと彼女と向き合ってあげろよ!君の所有物じゃないんだぞ!」


プッチン…


俺の中で、堪忍袋とやらが切れかかる。


はぁ~?
浮気させといて、何言っちゃてんの?
香織は俺のもんなんだよ!


「アンタに俺たちのこと関係ないだろ!」


怒りのまま小田切を怒鳴りつけると、香織が止めようとしてきた。


「嘉之っ!止めてよ!」


「…関係ない?彼女がこんなに苦しんでて、見過ごす訳にはいかないよ」


感情的な俺たちとは対照的に小田切は、冷静な声で悟った様に言ってきやがるから、虫が好かねえ。


「俺たちの6年間に、いきなり割って入ってくんなよ!」


俺たちの思い出が、簡単に踏みにじられていく気分だった。


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