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不器用なタッシュ

第11章 執念

一触即発の俺たちを香織は、蒼白した面持ちで固まって見ている。


小田切はビビってる様子もなく強気で見ていて、それが余計俺の怒りに油を注ぐ。


香織は口を真一文字に結び、意を決した様に話し出した。


「嘉之…話すから、場所変えよう…小田切さん、荷物持って行ってもらえますか」


香織がスーパーの袋を小田切に渡そうとすると…


「でも…香織ん…」


小田切が反射的に衝いた言葉…


『香織ん』?


普通の呼び付けより、ムカつく!


「なに?香織んって…随分気安いんだな!」


怒りが増長して香織の腕を掴む手に力を込め


「香織、行くぞ!」


「ひっ!」

怒鳴って引っ張ると、一瞬にして香織の顔は泣きそうになって、身を竦めた。


俺の気に入っている、ちょっと猫目の瞳が怯えている。


ドックン…


なんで…
そんな怖いものを見る様な…
目なんだよ…。


ドックン…ドックン…


まるで傷口から、血が流れ出る時の様な痛みが…

胸を疼かせた。

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