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不器用なタッシュ

第11章 執念

一触即発の状況に、このままだと殴り合いでも始まるとでも思ったのか…


小田切を庇いたかったのか、香りが俺の腕を掴んで


「嘉之…とにかく場所変えよう…人目に付くから…」


取り敢えず、俺と二人になる事を選んできた。


このまま香織を連れ帰るチャンス。


嫌味と優越感を込めて、香織に…
いや…小田切に、香織が俺のモンだと見せ付けてやりたくて


「じゃあ、今からウチに来いよ!」


「…それは…」


「こないだの続きするぞっ!」


意味深な言葉で、小田切をほくそ笑んでやった。


だけど…


「えっ…やっ…」


香織は本気で怖がった。


ドックン…

黒い渦が、ドロッとしたマグマに変化して噴火しそうだ。


「行くぞっ!」


燻る地底の奥で、もう一人の俺が切実に叫ぶ。


頼む香織…


俺を『選』んで…。


俺は力尽くで、香織の腕を引っ張ろうとした時…

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