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不器用なタッシュ

第11章 執念

「行かせない……」


小田切さんが、腕を掴んできやがった。


地球上に存在しているだけで、ムカつくのに虫酸が走る。


「離してくんない?」


鼻筋に皺が寄るくらい不愉快さ全開で小田切を睨みつけると


「君たちの6年ごと、俺は彼女を受け止めるから!彼女をそれで縛るな!」


甘い顔に似合わないくらい本気で睨み付けてきた。


な…こいつ…
マジで香織の事…。


これは直感…多分、当たっている。


「小田切…さん…」


香織は俺よりアイツの名前を呼ぶ。


ドック…ドック…ドック…


早まる脈が危険を察知しているみたいで、止めたくなる。


俺と居る筈の香織の未来が、一瞬小田切にすり替えられ…


身体中の血流が、怒りで沸騰しそうになった。


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