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不器用なタッシュ

第15章 対決

「チープかな? 凄く大事なことだと思うよ」


呪いの二文字に拘ってくる鬱陶しい小田切を黙らせる勢いで、俺は香織との『絆』を叩きつける。


「煩い! そんなことより香織は俺の子を身籠ってんだよ!」


少し不本意な流れだが、やっと本題に入れた。

流石にこれには、こいつだってショックを隠せないだろう。


俺は勝ち誇った気分で、小田切の顔を見た――――。


「そう……それで?」

「はぁっ!?」


小田切は驚くどころか、全然気にする様子でもなかった。


どういう神経してんだよ――――少なくとも、今一緒に住んでいる女が自分以外の男の子どもを妊娠してんだから、何かリアクションあるだろうが。


平然としている小田切の考えが読めないし、余裕ぶっている態度が更に俺の機嫌を悪化させていく。


「何……これぐらいじゃ驚きませんよ~って格好つけてんの?」

「いや単純に、それで嘉之くんはどうする気なのかと思ってさ?」


ニッコリ微笑んでそう返してきた小田切に、怒りが爆発しそうになった。


「あんたと話していても埒が明かない。香織の前でハッキリさせてやる」

「香織……呼ぶの?」


香織が来ると不味いのか? ――――小田切の顔が、真面目な表情に変わる。


「あぁ、その方が話が早い。今後のこともあるからな……」

「イタリアのこと?」

「……そうだけど」


香織、こいつになんでもかんでも話してだな。

正直ムカつくけど、イタリアも子どものこともあんたの力ではどうにも出来ないだろ――――。


鼻先で小さく笑って、俺は香織に電話をかけた。

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