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不器用なタッシュ

第17章 強行突破

香織は顔を顰めて数秒間目を閉じていたが、少しずつ開きだす。


「嫌ぁぁっ!!」


俺の顔を確認した途端、香織の顔は恐怖に歪み大声で拒絶してきた。


「な、なんで……嘉之……」


一応それなりに大恋愛した相手に、露骨に怯える香織に失笑してしまう。


「嫌って……そこまで嫌われたの俺」


自嘲的に話しかけると香織は目を見開いたまま固まっていたが、しばらくしておどおどした口調で話し出した。


「どうして……どうして来たの……?」

「ん~探しもんがあったから~」

「作品なら安岡さんに頼まれて、送るけど……」


香織は俺の『探し物』が作品だと思っているようで、過去に買った作品の山に視線を向ける。


だけど俺の探し物は――――。


「あ~あれじゃないから」

「な、なんなのよ……。それに何で、入って来れたの!」


今、そんなこと気にしなくても良いだろうに――――。


「合鍵あれば、入れるじゃん」

「合鍵……渡した覚えない……」

「そうだな~でも、簡単に作れるし」

「なっ! んぐっ!」

「ちょっと静かにしてな……」


取り合えず香織を黙らせるのに、口の中に布切れを突っ込む。


このシチュエーションも悪くはないが、今は時間との勝負だから楽しんでいる暇はない。


目的を達成させるためにも、香織の動きを制限しないといけなかった。




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