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不器用なタッシュ

第17章 強行突破

騒がれると困るから一旦喋れなくしてから、香織の手首、足首を縛っていく。


先ずは『アレ』を見付けなければだ――――。


「ん~! ん~!」

「喋れないのに、足掻くだけ疲れるぜ」


探し物をしている間も、香織はなんとかしようと必死にもがいていた。


それをスルーしながら俺は、目的のものを見付けるために、机、クローゼット、テレビ台の下――――と、思いつく限りの所を探すが見つからない。


「はぁ……ないな。やっぱり小田切のところか? なぁ、何処にしまってんの?」


時間が勿体ない。
これはもう、奥の手を使って香織に吐かせた方が早いな。


香織の口に詰めた布を引き抜いて話せるようにすると、息苦しかったのか噎せ返している。


「ゲホッ! 何を探してるのよ!」

「取り引きだよ、香織……」


俺はポケットから、こないだの興信所に調べさせた小田切の写真出して香織の目の前に突き付けた。


途端、香織の顔が強張る。


「今から俺の言うこと訊ければ、この写真とメールは小田切の会社に送られないようにしてやる」

「何よ……もう終わったんじゃないの……」


――――終わりな訳ないだろ。


「俺は、認めたかよ?」

「止めてよ! 本当に! いい加減にしてよ!」


敵でも見るかのような目で睨み付けて叫ぶ香織に、俺は冷たい目で顔を近づけて囁いた。


「香織……選択肢は無いって、言ったろ」

「や……」


逃げれない癖に顔を背ける香織の唇に、自分のを力いっぱい押し付ける。

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