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不器用なタッシュ

第17章 強行突破

「香織――――!!」


俺は喉の奥から絞り出すように、香織を呼んだ――――が。


バッタン――――玄関のドアが閉まる音だけが、俺の元に届いた。


「……くっそ……つっ」


情けない捨て台詞が、口を衝く。


身体中から力が抜けて、重力のままベッドに落ちて沈む。


後頭部に響く痛みだけが、俺に残された――――。


「香織……」


本能的に名前を呼んだが、胸の奥がズキズキして頭より痛くなる。


まさかここまで、されるとはな――――。

こんなことまでして、小田切の元にいきたかったのか――――?

ここまでする程、俺のこと嫌っていたのか――――?

あんなに俺のこと『好き』だって、言っていたくせに――――。


「やっぱり……好きなんて……絶対、言うもんじゃない……」


言っても『永遠』じゃないじゃないか。


俺は永遠に香織のこと――――


『愛している』って誓えたのに――――。



「もう……疲れた……」


疲れた――――。


頭と胸の痛みは引かないけど、意識は遠くなり始める。


あぁ――――もう一層のこと、このまま一生の眠りについてしまいたい。



目が覚めても――――君は僕の前には、もう居ないのだから――――。



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