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不器用なタッシュ

第17章 強行突破

「んっ……はぁ……」


暫くすると、香織の吐息が甘くなってきた。


ほらな――――身体は俺に逆らえない。


顔の角度を変えながら、執拗に口の中を撫で上げ、舌を絡める。


息苦しいのか、時々できる口の隙間から必死に息を吸い上げて、身体をくねらす香織が可愛かった。


「んっ! んん~!」


苦しいか――――。


少し顔を浮かして、香織の名前を呼ぶ。


「香織……」

「嘉之……」


香織の口からも、俺の名前が囁かれた瞬間――――ガッシャンッ!! 


大きな物音と一緒に、頭に激しい衝撃が走った。


「なっ……つっ……痛っ!」


一瞬何が起きたか解らなかったが、ぶつかってきた正体がベッドサイドにあったアンティークのスタンドランプだと判明した。


香織――――足で引っ掛けて倒したな!


スタンドランプが当たったくらい大したことないと思ったが、外当たり所が悪かったのか激痛がして思うように動けない。


やりやがった、な――――。


反射的に頭に手当てると、その隙に香織が逃げ出した。


「て……おい!」


声を掛けたが、香織はチャンスと言わんばかりに縛られたままの手で、パスポートとバッグを掴むと部屋から飛び出していってしまった――――。


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