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牡牛座【完】

第1章 1

「『しめた!』と思ったゼウスはダッシュで走ったの。エウロパのお供の人が追いかけるけどとうとう追い付かなかった。そして、ある程度遠くまで行ったらゼウスは元の姿に戻った。さっきの牛がゼウスだと知り、吃驚するエウロパに、ゼウスは言うの」

「…………」

「『きみに一目惚れしたんだ』ってね」


そこまで言ってきみはにっ……と口許を緩ませて言った。














「ゼウスは貴女の彼氏。ヘラは貴女。そして、ーーエウロパは、あたし。ごめんなさいね?」


きみの声音は、有利な立場に立つ者の
ものだった。



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