あなたがいてくれたから。
第16章 Mr.Kissman
バタバタっ……
誰かの足音が響きわたる。
その人は今あたしの後ろにいる。
「奈美…ごめん。」
斗真君が後ろから抱きしめる。
「なんで謝るの?
あれは演技なんでしょ?」
「でも…」
「あたしは全然気にしてないから!」
「嘘つくなよ!」
「嘘なんかついてないよ?」
「嘘だろ?
もし俺が奈美の立場だったら
悲しくてたまんないと思う。
奈美ホントごめんな?」
その瞬間に斗真君は
あたしにキスをした。
甘過ぎてとろけそうなキス。
あたしの腰と頭に手を添えて
ちょっとだけ強引なキス。
あたしはそれが
嬉しくてたまらなかった。
あたしだけにしてくれる
偽りのない本当のキス。
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