
あなたがいてくれたから。
第19章 さよならクロール
「SKE48&AKB48!teamK2!teamA!
松本ーーーーーー奈美っ!!」
あたしは深々とお辞儀をする。
心のどこかで分かっていた気がする…。
自信がないことに。
コツコツ…階段の音が響く。
戸ヶ崎さんから二位のたてを受け取る。
そして、マイクのところまで…。
「こんな、あたしに
たくさんの票を入れてくれた皆さん!
ありがとうございました!」
あたしはまた深々とお辞儀をする。
この時あたしは孤独との戦いに
敗戦した。
「泣かないでー!」「ナミミーン!」
観客席から声が聞こえる。
泣かないで?あたし、泣いてるの?
頬に手を当てると
手がほんの少し濡れた。
あたし、泣いてるんだ。
自分でも認識しない間に
涙なんて流すなんて…。
