
あなたがいてくれたから。
第32章 new ship
《翌日》
「奈美。ちょっといい?」
「あの話ですか?」
「そうよ?答えは出たかしら?」
「はい。」
昨日、珠理奈とちゅりに相談して
自分でも悩みに悩んで
出した答え……。
「で、もちろん受けるわよね?
良かったわ。これであなたも
大スターよー!」
分かりきったように美佳さんは喜ぶ。
「美佳さん。」
「なに?奈美。
これからいそがしくなるわよ。」
「私、受けません。」
「は?何言ってるのよ。」
「私、やっぱり受けれません。」
「何を…何を言ってるの?
あなたを引き止める人なんて
誰もいないわ?!」
「あたしが離れたくない人がいるんです。離れられない人が。」
「家族のこと?」
「ちがいます」
「奈美?
まさか、大切な人でもいるって
言いたいんじゃないでしょうね?」
「そのまさかです。」
「奈美?どういう意味かしら?」
「あたし約一年前から
高橋斗真さんと
お付き合いさせてもらってます。」
「奈美。嘘でしょ?」
「ほんとです。
あたしから斗真さんをとったら
あたしじゃなくなる。
だからいけません。」
美佳さんは驚き、
私は顔色一つ変えず
平然としていた。
