
あなたがいてくれたから。
第35章 ファーストラビット
あっという間にアンコールが終わりを
告げようとしていた。
もう、言わないといけない。
でも、足が。手が。全身が震えて
前に出れない。
まだ、仲間のメンバーの隣にいたい。
そんな気持ちでいたら
珠理奈が視線をこちらに向け
目で「言わないの?」というような
表情で語りかけてきた。
言わないと…
言わないと…
あたしは強く目を瞑った。
すると
「皆さん!なみみんから
お知らせがあるみたいです!」
もう、既に泣きそうな声で大きく
マイクに向かって言ってくれたのは
珠理奈とちゅりだった。
二人共、あたしの方を見てにーっと
笑ってくれてた。
それを見てほっとして
あたしは1歩皆より
先に踏み出すことができた。
