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身代わり妹

第8章 本心

もう何日も、

医者の言う”生死の境”っていうのを彷徨っている美姫。


でも、今日は顔色がいい。


「美姫ちゃん、おはよう」

やせ細り、青白い美姫の顔を撫でる。


お人形さんみたい。

この子は本当に器量がいい。

ただ笑っているだけで華になる。



「美姫ちゃん、今日もかわいいわね」

堪らず、美姫ちゃんの額に唇を押し当てた。



「……ま……」


─────え?

驚いて美姫ちゃんの顔を見る。


「美姫ちゃん⁈ 」

ああっ、奇跡が起きた‼︎

美姫ちゃんが目を開いている‼︎


「ママ……」

「美姫ちゃん‼︎」


その細い体を抱き締める。

よかった……っ‼︎



「りょ…た…は……?」


そうよ、凌太さん。

美姫ちゃんは凌太さんが大好きなんだもの。


「呼んでくるわね」

担当医と話すと言っていた凌太さんを呼びに、ドアへと向かう。



「……美優の…心臓…もらえば……助かるよね?」

掠れた美姫ちゃんの声。


「当たり前じゃない!」

力強く頷く。


絶対に絶対に美姫ちゃんを助ける。

そのために美優を産んだんだから‼︎

何が何でも美優を見付けて、心臓と移植費用を貰わなくちゃ!

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