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身代わり妹

第15章 【最終章】幸福

私は母の正面に回り、しゃがんだ。

「お願いよ、美優。美姫ちゃんと暮らさせて! 美姫ちゃんを私に頂戴!」

凛に覆いかぶさるように抱き締め、母が叫ぶ。



─────頂戴?

……凛はものじゃない。

そんな簡単な事もわからないの?



「お母さん…凛をお姉ちゃんの身代わりにしないで……お姉ちゃんは…もう死んだのよ?」

母を押し退け、凛を抱き寄せる。

泣き腫らした目をし、ヒックヒックと大きく身体を揺らす凛。


「怖い想いさせてごめんね」

ギュッと凛を抱き締め立ち上がる。



「縁起でもない事言うなぁっ‼︎ 」

母の目がカッと見開き立ち上がったのが見えた。

同時に私の頬に鋭い痛みが走る。



「…っ……この子はお姉ちゃんじゃない。秋村 凛……私と凌太の娘だよ‼︎ 」

母に叩かれた頬を押さえ、涙が浮かぶ目で母を睨む。



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