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身代わり妹

第15章 【最終章】幸福

今日は珍しく由美さんがお休みを取っていた。

孫と過ごしたいからって言ってたけど、本当はこの頃私が優太と凛の相手に疲れているのを知っているみたい。



「りんごとみかん、どっちがいい?」

由美さんが、優太と凛にジュースを差し出す。

冷蔵庫の中に、それぞれ一本ずつ残っていたそうだ。


「りんごーっ!」

優太と凛の声が重なる。


「あら困った。リンゴは一つしかない」

由美さんが言えば、

「じゃあ、りんちゃんにりんごあげる」

優太は由美さんからりんごジュースを受け取り、凛に手渡した。



「優太、ありがとう!」

私の腕の中で、兄に譲ってもらったりんごジュースを当然のように飲み始める凛。

そんな凛の代わりに私がお礼を言えば、優太ははにかんだ笑いを浮かべた。


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