テキストサイズ

身代わり妹

第2章 嫉妬

ドンッ!

突き飛ばすようにして、凌太の温かい胸から逃げ出した。

なのに、

「何で1人で抱え込むんだよ! もっと頼れよ!」

凌太はまた、私の腕を掴み、私の身体をその胸に抱き寄せる。



「でもっ、お姉ちゃんの美容代とかっ、個室料とか…凌太に甘えっ放しで…っ」


ダメ……この胸に縋りたくなる。甘えたくなる。

堪えていた寂しさや悔しさが、涙となって溢れ出す。


同時に、呼吸が乱れ、胸がチクチクと痛み始めた。

(こんな時に発作なんて……)



「美優…泣くな…落ち着け……」

凌太の口調が優しくなり、私の身体を優しく抱き締める。


凌太の腕の中は、どこよりも心が落ち着く。

背中を優しくさすられていると、呼吸も痛みも、そして心も次第に落ち着きを取り戻してきた。



「美優…落ち着いた?」

凌太の手が私の頬を包む。


「うん…ごめんね……」

俯き掛けた私の顔を凌太の手が上に向かせ、凌太の額と私の額がコツンとぶつかった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ