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身代わり妹

第1章 苦悩

コンコン
病室のドアをノックし、恐る恐るドアを開ける。


「おはよう。お姉ちゃん、具合どう?」

笑顔を貼り付けてそう言いながら、洗濯済みの衣類を袋から取り出して片付けていく。


「それ嫌味? 良いわけないじゃない! 何で美姫ばっかりっ」

ベッドを起こし雑誌を見ていた姉の美姫が、私を睨む。

顔色は悪く、鼻には酸素の管が付けられていた。


「美姫! 大丈夫よ。美姫の心臓が止まりかけたら、美優の心臓をあげるから。きっと元気になれるから」

平然とそう言うのは、私の実の母親。



─────心臓…

それなかったら死ぬよね?

私はお姉ちゃんに心臓まであげなきゃなの?

お姉ちゃんを生かす為なら、私には死ねと言うんだ。

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