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身代わり妹

第3章 解禁

「わっ、受付のお姉さん⁈」

花純ちゃんとは逆側の隣から声を掛けられる。


「あ、はい」

慌てて振り向けば、今日の新患さんの男性だ。


「俺、覚えてる? 浅川 奏佑[あさかわ そうすけ]、17歳、大工やってんだ」

日焼けした肌に筋肉質な身体、

金色に輝く短髪は白いタオルが巻かれ隠されている。


「お会計したの、ついさっきじゃないですか。覚えてますよ」

懐っこい彼の笑顔につられて、私もつい笑顔になる。



「足の骨、折れてなくて良かったですね」


仕事中に足を踏み外し、慌ててカッコ良く着地を決めたのだが、その後から左足が腫れてズキズキすると言って診察に訪れた。

幸い骨に異常はなく湿布を貼って様子を見る事になったと、お会計の時に彼が話してくれた。



「でもしばらくは仕事出来なくて…

はぁー、生活苦」

大袈裟に机に突っ伏す彼に、思わず笑ってしまう。


「ひっでー! 俺、真剣に困ってるのに」

「ごめんなさい。何だか浅川さんて言動が可愛いくて…」

17歳…6歳も年下の彼が膨れてみせる姿も可愛い。


「あー、中卒馬鹿にしてるっしょ?」

「してない、してない」

慌てて首を横に振る。


「だって、私も中卒だもの」


そう……私も中学を卒業してすぐに働かなければいけなかった。

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