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素直になれるか?

第2章 素直になれた二人の始まり

この状況で、この情動を止められる奴なんてまずいないよな。

課長が俺を好きとか嫌いとか、取り敢えずそんなのはどうでもよくて。

ただ、今俺がこの人に触れていいってことが分かった。

ぶつかる勢いで唇を重ねる。
課長の後頭部を支えながら、誘われるように開かれた口内に舌を侵入させた。

くちゅくちゅと濡れた音をこぼしながら、滑らかな舌を絡ませると、時折ゆるく吸われてそれだけで体の奥から熱がせり上がってくる。

「ん……ぅ。ふ…」

課長の鼻から抜ける甘い吐息に混ざる声が、一層ヤバイ。何この甘えた感。
普段凛としている課長が、俺とキスしてるだけでなく、こんな…艶のある吐息を…

好きだ。
俺どうしてもこの人が好きだ。
もう無理。
本当にこの想いが強過ぎて怖い。
好き。

がむしゃらに舌を暴れさせていたが、気持ちが爆発しそうで危なかった。

唇を離し、課長の顔をじっと見つめる。

飲み込みきれない唾液が課長の口元を伝い、潤んだ目元と薄く開いたままの唇から漏れる吐息。
寄せられた眉が不安げに震えるのも、背に回された腕がスーツをきつく掴んだままなのも。

「好きだ。課長、本当に好きなんです。もう、あんたがどう思っていても、離せないし、離すつもりないです」

涙すら出そうだった。
喉の奥が痛い。

「ごめん…加瀬宮。不安にさせてたのは…分かってたけど…」

「不安でしたよ。そりゃ…」

「お前の怪我…後遺症も心配だったし…会社でもし、バレたら…お前は感情で突っ走るところあるから、ブレーキかけられるのは俺だけだしな」

課長がじっと俺を見つめてくるから、俺も負けずにその瞳に視点を合わせる。



「俺が好きですか?」

同じ問いを、今度は耳元で低く囁いてみる。

課長はゆっくりと瞬きをして。
じんわりと頬を赤くして。


「…好きだ」



迷いなく答えをくれた。


「押し倒していいんですよね?」

チュッと唇をついばんでから、耳朶を咥える。
少し仰け反るように頭を傾けつつ、課長は艶のある声で

「ベッドルームまで抱いていけよ」

なんて言うから、俺の息子はもう直立不動だ(笑)


なんていうか、そりゃ好きってことも嬉しいんだけど、抱けるって喜びがまず前面に出ちゃうのは、若さ故って事で。



ああああ!もう、課長とベッドインとか、嬉しすぎるって。これ妄想じゃないだろうな?

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