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そして僕等は絡み合う

第2章 宮脇 詞の場合

「何で…逃げるの?」


「逃げて…ないよ…。」


見詰められる視線が痛くて、目線を下に向ける。


手を引きたくても、柴多の力が強くて動かせない。


「手…痛いよ、柴多…。」


「俺も…ずっと胸が痛いよ。」


お願い!
それ以上は言わないで!


「ごめん!離して…。」


「聞けよ…詞…。俺はずっと詞の事…。」


「柴多っ!」


涙が溢れてくる。 


「一人の女性としか見てないよ…。」


「柴多…離して…。」


一気に沸いてくる劣等感。

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