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そして僕等は絡み合う

第2章 宮脇 詞の場合

で、結局アパートの近くまで来てしまった。


「柴多!もういいよ!遅くなるからさぁ。」


「あっ…うん。」


やっと手は離され、ホッとしてしまう。


「有り難う。今日は遅いからまた今度、お茶でも飲んで行ってよ。じゃあ…」


アパートに向かおうとしたら


「詞…。」


柴多の長い腕が伸びてきて、私の顔に触れた。


「ひゃっ!」


突然の事に、思わず小さく叫ぶ。


「クス…驚いてやんの。」


見上げた柴多の顔は、凄く切ない表情だった。


「柴多…。」
「詞…。」


柴多の指が、私の頬をなぞる。


その感触に身体が小さく震えてしまった。


ヤバい…帰らなきゃ!


「柴多!また、明日…!」


「待って!」
「きゃっ!」

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