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そして僕等は絡み合う

第3章 西垣 静湖の場合

高級和牛霜降り肉なのに…緊張の余り味が良く解らない…。


ワインだって、四季折々の素材だって…普段行くスーパーではお目にかからないし、かかっても手が届かない…。


お箸の先をくわえながら、チラリと人見さんを見ると、無表情で黙々と食べている。


普段から食べ慣れてて、今更の味なんだ!きっと!


今の状況を受け止めきるず、すっかり人見さんをヤクザのままにしてしまっていた。


あぁ…私は明日、異国の地に行くのね…。


「何の話しですか?」


「わぁ!何っ!」


人見さんが、急に突っ込んできた。


「一人でブチブチ言ってるから、何なんですか?味、合わないですか?」


無意識に呟いていたみたいだ。


睨まれてる気がする!


「滅相もございません!」


「西垣さん…急に畏まって変ですよ?」


だってあんたが、ヤクザで……違うか…。


「罰ゲームは、何よ…。」


構える私に人見さんは口端を上げて


「後程…。」


一口、ステーキを食べた。

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