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キャンバスのキミ

第5章 部員

「呆れた。で、何?突然描くわけ?」


「う~ん、どうだろう」


「描かないなら出て行って」


「ねぇ、これさ、去年の絵だよね」


無造作に置かれた海の風景画を見て言った。


「そうよ、駄作だから見ないでよ」


「綺麗だよ、感情がこもってないけど」


「だから、駄作って言ってるでしょう!
だいたいあなたに評価されたくないわ」


「あんた、いつも怒ってる…」


「違うわ、あなたが私をイラつかせるの」


「分かったよ…消えるよ」


ようやく彼は部室から出て行こうとした。


ホッと肩を撫で下ろしたところ…


「あっ、雨…」


と曽根君が呟いた。









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