
悪魔と淫美な世界へ
第6章 ~揺さぶられる心~
ベッドの中で夢心地のゆきの元に、黒い人影が近付いてきた。
「…ゆ…き‥‥‥ゆき… 様…」
「…ん…魁…?」
聞き覚えのある声に眠そうに目を覚ますと…
いきなり琉希の整った顔がアップで飛び込んできて、ゆきは驚きのあまり目を見開いた。
「りゅっ琉希さんっ!? 」
「まだ寝てたんですか? 朝食もまだの様ですね 」
「すっすいませんっ
つい寝ちゃって…」
「早く朝食と入浴を済ま せて下さい
後で魁様に言われるの は私なんですから」
「は‥はい…」
返事を聞いた琉希は、ゆきから離れさっさと寝室から出て行った。
はぁー…びっくりした ぁー…
心臓に悪すぎるっ…
ゆきはいそいそと朝食を済ませた後、琉希の見張り付きの入浴を済ませた。
そしてまた寝室に戻り、退屈そうにベッドに横たわった。
魁…いつ用事終わるの かな?
少しうとうとしていた時、突然ドアをノックする音が響き渡った。
琉希さん?
「はい…」
ドア越しからは何の返事も無く、またノック音が響いた。
琉希さん…?
ゆきは恐る恐るドアの方に近づいて行き、少しだけドアを開けた。
その瞬間、強引にドアが開けられ見覚えのある男の姿があった。
「あなたは…迷子になっ た時の…」
「覚えてたんだ
でも今日は身体目当て じゃないから」
「え…?」
「黒胡様がお呼びだ」
男の嫌な笑みと伸ばされた手の映像を最後に、ゆきは意識を手放した――――……
