
悪魔と淫美な世界へ
第4章 ~ 捧げる想い ~
まだ数人しか来ていない早朝の教室…
珍しくゆきの姿があり、元気がない様子で外を眺めていた。
結局、魁帰って来なか ったなぁ…
もし‥このまま戻って 来なかったら‥‥
『彼氏とうまくいかなか ったら、おれの所にき て』
ふと蒼空の言葉が頭を過ぎり、ゆきは赤くなった頬を隠す様に俯いた。
わたし何考えてるのっ こんな事で甘えちゃ駄 目っ!
蒼空の気持ちに漬け込 んで‥都合良く利用し するなんてっ…
「ゆき、おはよう!
どうしたのっ?
いつもより早いねっ」
教室に入って来るなり、里香はゆきの机に飛びついた。
「うん…なんか早くに目 が覚めちゃって‥‥」
「どうしたの?
前より元気なくなって るけど…
デート‥うまくいかな かったの?」
「うん…
せっかく誘ってくれた のに‥ごめんね‥‥」
今にも泣き出してしまいそうなゆきを見て、里香は慰める様に抱きしめた―――
「元気出して」
「ありがとう…」
魁は‥わたしの処女目 当てって…わかってた はずなのに‥‥
現実を知らされると… 胸が痛くて張り裂けそ う‥‥
「ねぇ‥何でケンカした の?」
「…ケンカっていうか… 」
ゆきは昨日の事を話し…それを聞いた里香は、なーんだっという顔をしてゆきから離れた。
「それ、ヤキモチじゃな いっ?」
「え…?」
魁が…?
「他の男に迫られてる所 見て、妬かない人なん ていないよ~」
魁が嫉妬するなんて‥ ありえない…
普通のカップルならそ うなんだろうけど…
わたし達は‥‥
「じゃあさー
試してみればっ?」
「えっ…試すって…?」
「ヤキモチ妬くかっ
蒼空君に頼んでさ!」
「そ‥そんなこと頼めな いよっ…」
「ゆきから頼めないなら あたしが頼んできてあ げる!」
「えっ!?ちょっ…」
止める間もなく、里香は一目散に教室を出て行ってしまった。
